親権者とは
有斐閣の法律用語辞典には次のように書かれています。
「未成年の子に対して親権を行使する者。すなわち、未成年の子の監護、教育の義務を行い、その財産を管理するための権利義務を行使する者。」
親権者の権利義務として民法に次の3つが規定されています。
① 身上監護権
また、身上監護権には、次のものがあり、子供と生活を共にして身の回りの世話や教育をすることをいいます。
イ. 監護教育権
ロ. 居所指定権
ハ. 懲戒権
二. 職業許可権
② 財産管理権及び代表権
③ 法定代理権及び各種同意権
通常は親権者が、上記①~③を持ちますが、父母のうち一方を親権者、他方を監護者とすることもあります。
例えば、父母の親権争いについて、父母双方の子に対する愛情を満足させるために、親権者と監護者を分離して、一方を親権者、他方を監護者とする場合です。
ただし、このようなケースは少ないでしょう。
この場合、身上監護権は監護者に帰属し、親権者の権限は限られたものになります。
民法第766条1項
「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護すべき者、父又は母と子の面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先した考慮をしなければならない。」
子の利益を最も優先して考慮しなければなりませんので、上記の父母の争いを収めるためのみで、親権者と監護者を分離するのは、不適当であるとされています。